2020年8月、長野県・小梨平キャンプ場で早朝散歩をしていた女性が熊に遭遇し、頭を噛みつかれるというショッキングな事件がありました。
野生の熊が人の生活圏に足を踏み入れ、人と遭遇する事件が増えています。
アウトドアシーンでは、自然の中に身を置くのが醍醐味ですが、だからこそ危険な野生動物に遭遇する確率も高いです。
もしも、野生の熊と遭遇してしまったら、適切な対処をしなければ大変危険。
正しい対処法を知って、いざという時に備えましょう!
【要注意!】野生の熊に遭遇したときの正しい対処法
今回は、キャンプ場などでのアウトドアで熊に遭遇してしまった場合の正しい対処法を紹介します。
万が一、熊に遭遇したときに備えて、事前知識を付けましょう!
絶対やってはいけないNGアクション
熊に遭遇した場合、絶対にしてはいけないのは「熊を刺激すること」。
熊は本来憶病な性格なので、人間の何気ないアクションが熊を刺激してしまうことがあります。
熊に驚いて、以下のNG行動をとってしまうと、瞬時に襲われてしまうことも。
熊を刺激するNGアクションを紹介します。
NG①大声を出す
熊は危険生物ですから、それが突然目の前に現れたら、誰でも恐怖のあまり声を上げてしまいそうになりますよね。
しかし、熊は本来臆病な性格なので、人間が突如大声を上げることによって熊も驚いてしまいます。
突然現れた見慣れない生き物(人間)が、恐ろしい形相で悲鳴をあげたら…
熊は、自己防衛の本能によって襲いかかってくることでしょう。
NG②走って逃げる
熊に遭遇したら、危険ですからすぐにその場を離れたくなります。
自分の家族や友人がそばにいれば、その人を先に逃がそうとするかもしれません。
しかし、熊は「逃げるものを追いかける」という習性があり、目の前のものが逃げると追いかけて来てしまいます。
熊を目の前に走り去るのはNG、逃げるものを追いかけるので同行者を先に逃すのもNGと覚えておきましょう。
NG③死んだふり
「熊に遭ったら死んだフリをしろ」という話が有名ですが、実はこれはあまり効果がないようです。
熊は死んだ獲物を食べることもあり、死んだフリをしているとかえって興味を持たれてしまう可能性があるとか。
追い払うつもりが、熊をおびき寄せてしまいます。
熊に遭ったときの正しい対処法
それでは、熊に遭遇したときに一番大切なポイントは「慌てないこと」です。
もしも、うっかり熊に遭遇しても、慌てず冷静に対処しましょう。
それでは、熊遭遇の正しい対処法を紹介します。
熊に遭ったら①目をそらさない
熊に近距離で遭ってしまったら、目をそらしてはいけません。
目をそらしてしまい背中を見せてしまうと、熊はその隙をついて襲いかかってきますよ!
また熊は、違和感を感じると、立ち上がって周りの様子を確認する習性があるので、急に立ち上がったとしても熊を見つめ続けましょう。
熊に遭ったら②ゆっくり後退する
目を見つめながらゆっくりと後退しましょう。
ここで慌ててはいけません。ゆっくりと、です。
ある程度距離をとったら(最低4、5メートルほど)、ゆっくりと目を逸らして、なるべく音を立てないように去りましょう。
熊に遭ったら③リュックを背負って地面に伏せる
これは最悪なパターンですが、もしも熊が襲いかかってきたら、リュックなど荷物を背中に背負ってうつ伏せに地面に丸まります。
頭を抱え、なるべく小さくなるようにしましょう。
熊の攻撃を防げるかもしれません。
山の中の〇〇に注意!熊が近くにいるサイン
熊は、自分のテリトリーを大切にする生き物です。
そのため、縄張りにはマークを残し、侵入するものや獲物を横取りするものは敵とみなします。
熊の縄張りは通常山の中にありますが、キャンプ場の近くにも無いとは言えません。
縄張りを犯して、熊に遭遇してしまわないよう、「熊のいるサイン」を紹介します。
サイン①子熊の近くには母熊がいる
危険生物である熊ですが、その子供は人間の赤ちゃんと同じくらいの大きさで、とてもかわいい姿をしています。
そのため、熊の赤ちゃんを見つけるとつい近づいてしまう人がいますが、これは危険です。
赤ちゃんの近くには、必ず母熊がいます。
姿が見えなくても、身を隠してこちらの様子を伺っているでしょう。
子育て中の母熊は特に気性が荒いので注意です。
サイン②動物の死体の近くには熊
熊は縄張りの中にいる動物はほとんど餌と認識していて、その餌に対する執着が強いので注意が必要です。
もしも、鹿の死体が不自然に落ちている場合、それは熊のものかもしれません。
こういった野生動物の死体を無闇に触れたり、動かしてしまうと、熊の逆鱗に触れてしまう可能性も。
野生動物の死体には触らないようにしましょう。
サイン③木の皮が剥がれている
熊は自分の縄張りを主張するために、木の皮を剥がしてまわります。
木の幹に爪痕や、剥がれた木の皮があったら、そこは熊の縄張りかもしれません。
見つけたら、すぐにその場を離れましょう。
熊に遭遇しない方法は?
熊に遭遇したときの対処法を紹介しましたが、やっぱり正しい対処をしても「絶対に大丈夫!」とは言いきれません。
楽しいキャンプを熊に台無しにされたくなければ、やはり熊と遭遇しないような事前の準備が必要です。
方法①熊出没情報を事前チェック
キャンプに行く前の下調べでは、熊の出現情報も要チェックです。
体の大きなヒグマが生息する北海道では、熊が出ないキャンプ場は少なくなったほどです。
本州や四国にもツキノワグマが広く分布し、その行動範囲も年々広まっています。
以前は大丈夫だったとしても、チェックを怠らないようにしましょう。
出現情報は各都道府県ホームページなどから調べられます。
方法②なるべく一人でいない
熊に遭わないようにするには、なるべく単独行動は避けましょう。
熊の被害は、単独行動をしているときが最も多いと言われています。
行動するときには、複数人で行動しましょう。
方法③残飯・生ゴミは捨てない
熊は、人間の捨てた生ゴミや残飯を食べると、味を占めてしまいます。
人間界の食べ物を知ってしまった熊は、どんどん人の生活圏へと移動してきてしまいます。
熊の侵入を防ぐには、ゴミの処理がとても大切です。
生ゴミの出ない工夫をし、ゴミを持ち帰る準備もしておいてください。
熊に遭ったら「慌てない・刺激しない」。キャンプは事前の熊対策をしっかりしよう
人を襲うこともある危険な熊。
もしも、キャンプで熊に遭遇してしまっても、慌てず冷静になって正しい対処しましょう。
熊の習性(臆病・逃げるものを追いかける・縄張りと獲物への執着が強いなど)を理解して、イメージトレーニングをしておくのもいいですね。
熊に遭遇したくなければキャンプの前に情報を集め、一人の行動を避け、ゴミは全て持ち帰ることも大切です。
これからも楽しくキャンプ場を利用していくためには、利用者ひとりひとりが協力して、熊を生活圏に入らせない工夫も必要です。
参考文献 環境省『熊類出没対応マニュアル』
written by ぜりこ