現在の岩手県北部・青森県南部・秋田県北部の地域は、江戸時代には南部氏が治める南部藩として存在し、時がたった現在でも南部地方として呼ばれています。南部地方の名産品として最も有名なのが北上山地の砂鉄を使用した「南部鉄器」ですが、その他にも九戸村を中心として作られたきた「南部箪笥」もあり岩手県指定伝統工芸品として認定されています。
そこで今回は、そんな「南部箪笥」の製造技術を使ったアウトドア家具ブランドを紹介したいと思います。
「南部箪笥」の製造技術を使ったアウトドア家具ブランドとは?
今回紹介するのは、「南部箪笥」の製造メーカーである「株式会社マルイ造形家具工業」が新たに立ち上げたアウトドア家具ブランド『A&D/W』です。
「株式会社マルイ造形家具工業」は、岩手県九戸郡九戸村に本社工場を持つ「南部箪笥」の老舗で『A&D/W』の他にも「南部箪笥(NANBU-TANSU)」「ダイニング火鉢(HIBACHI DINIG)」などのブランドがあり南部箪笥の普及に努められています。
『A&D/W』とは?
『A&D/W』の意味
伝統工芸品関連としては不釣り合いなブランド名『A&D/W』ですが、このアルファベット3文字には意味が込められています。
1つ目は「南部箪笥」の特徴である「指物技術」を表しています。この「指物技術」というのは通常家具を作る際に使用する金具や接着剤を使用せずに部材同士をつなぎ合わせる技術です。この技術によって組み立て・分解が容易な家具となっています。そんな特徴をA→Assembly(組立)、D→Disassembly(分解)、W→Wedge(クサビ)で表しています。
2つ目は出来上がった製品を愛用してもらいたいという思いを込めてA→Affluent(裕福、ゆとり)、D→Deluxe(贅沢)という意味も持っています。
『A&D/W』のこだわり
『A&D/W』の製品には8つのこだわりがあります。
- 接合に金具を使わない
- ボルトやネジを使わない
- 部材接合に接着剤を使わない
- 指物技術による接合だけを採用する
- 工具無しで人間の手だけで組立・分解ができる
- 分解すればにコンパクトになり持ち運びが簡単になる
- 分解により部材のお手入れやメンテナンスが綺麗にできる
- 中でも外でも使える家具
なかでも「組立・分解ができる」ことによってメンテナンスや修理が容易になることや分解によりサイズがコンパクトになり持ち運びが容易になるというアウトドアで使用するのに適した製品となっています。
仕様部材のこだわり
『A&D/W』の製品には、岩手県産材のオノオレカンバ材を使用しています。オノオレカンバという木は東北地方の太平洋側に多く生えており、1ミリ幹が太くなるのに3年かかるという成長の遅さから貴重で、その名の通り「斧が折れる」ほど硬い木材です。
そんな硬い木材を使用することにより接合部の強度を落とすことなく部材を薄く・軽くすることができるのです。
製品紹介
『A&D/W』では「七輪囲炉裏シリーズ」「ソロキャンプシリーズ」「小物シリーズ」という3つのシリーズで製品をリリースしています。
「七輪囲炉裏シリーズ」
「七輪囲炉裏シリーズ」の代表的製品が「七輪囲炉裏」です。
「七輪囲炉裏」は文字通り中心部に七輪をセットして、バーベキューを楽しむために作られた家具となっています。アウトドアでも使いやすいようにロータイプチェアに合わせた高さとなっています。
「ソロキャンプシリーズ」
「ソロキャンプシリーズ」の代表的製品が「ミニテーブル」です。
一人用に丁度良く、1.618:1(黄金比率)の天板サイズで設計されており、しかも分解出来てコンパクトになるというソロキャンプに持って行きたいテーブルです。
「小物シリーズ」
「小物シリーズ」の代表的製品が「焼肉用タレ皿」です。
お好み4種のタレを楽しめるよう作られており、その他にも前菜盛りの器としても使えるかもしれません。
価格と販売方法は?
今回紹介した製品を始めとする『A&D/W』の製品は『A&D/W』HPの販売サイトにて購入ができます。
今回紹介した製品の価格は以下の通りです。
- 七輪囲炉裏:43,000円~(税・送料込み、仕様部材によって価格が変わります。)
- ミニテーブル:11,000円~(税・送料込み、仕様部材によって価格が変わります。)
- 焼肉用タレ皿:2,500円~(税・送料込み、仕様部材によって価格が変わります。)
他の製品については『A&D/W』HPの販売サイトを参照してください。
まとめ
今回は、「南部箪笥」の製造技術を使ったアウトドア家具ブランド『A&D/W』を紹介しました。
先人が培ってきた伝統技術を使い作られた『A&D/W』の製品はどれをとっても知恵が詰まっており、合理的で使いやすそうです。
組立分解も簡単でメンテナンスができることから長く使える愛用品となることでしょう。
興味のある方は、『A&D/W』HPをチェックしてみてください。